第三天 5月25日 台北→鶯歌 走行距離45キロ

 

いよいよ縦断開始の日

 

身体ならしに台北市内を一周してから鶯歌(イングー)に向った。

途中台北101ビルの展望階に行ったり、日本から上陸した鶏白湯ラーメンを食ったり、これまで一切してこなかった観光客的な動きをし、鶯歌に着いたのは15時。

あてにしていた魚旅民泊は満室で店員に「玉山旅館」を紹介してもらった。

行ってみると玉山旅館は正常な人間の第六感的に泊まりたくない感じがした。 

新竹にある伝説のごみ宿「新南旅社」に近い。

フロントでは一応パスポートチェックがあったが玉山旅館は要はラブホで男二人で仲良くダブルベッドで寝る羽目になった。

 

ゲバラは玉山旅館を出て酒を買いにセブンイレブンにそこである出来事があった。

 

それは大男がいきなり卒倒し、いびきをかき始めたのである。

咄嗟に起こしてあげようとすると、セブンの店員が「寝かしといて」という。

コンビニの出入口にこんな大男が寝ていたらさぞかし営業妨害だろうに店員はそのままにしろと言う。

 

郷に入っては郷に従え  そのままにした。

 

玉山旅館に戻り、蓮君にその旨を伝えると興味津々で今度は二人でその男を見に行く事にした。

 

その時、我々にとってその男は万里の長城やサクラダファミリアより 「行ってみる価値」 があり、漢民族の歴史的建造物やアントニオガウディの傑作を瞬間的に凌駕していた。

セブンイレブンに戻ってみると男は普通に座っていた。

 男なら男らしく出入口で寝ていてほしかった。

だがよく見るとうつらうつらしており、いつブレーカーが落ちてもおかしくない状態だったから、我々は歴史的瞬間を記録すべくフィルムを回した。

我々の悪ノリをよそに男はなかなか倒れてくれない。

しばらくすると千鳥足で店を出て子供の乗り物に乗った。

訳が分からない。

その上おじちゃん2人とおばちゃん1人、計3名が男を取り囲みドツき始めた。

それは暴力ではなくたぶん教育的指導だったのだろう。

男はその3人に連れられてどこかに消えて行った。

 

それから我々は酒を愚直に飲み、セブンイレブンの弁当を夜食にし宿に戻ったが 今度は爺さんが倒れている!!

しかも後頭部で植木鉢を豪快にブチ壊している!!

 

夕方セブンイレブンで倒れていた大男は偶然じゃなく必然な気がした。

 

百聞は一見に如かず この動画を見て欲しい!!

これは鶯歌に受け継がれる男の作法か?

 

 セルフバッグドロップの街 鶯歌

 

オレもいつの日か男らしく豪快に 


第四天 5月26日 鶯歌~台中(一部輪行)走行58キロ

この日は鶯歌駅から苑里駅まで輪行してから台中まで自転車で走った。

里駅で自転車を組立直し、自転車会社GIANT本社へ行って震災時のお礼をしたがこの日は日曜日、警備員さんが数名いるだけだった。

 

GIANT社の次に向かったのは 高美湿地 これは数少ない蓮君からのリクエストだった。

有明海と同じドロンコ生態系の中で命を繋ぐムツゴロウやカニ達に感銘を受けた。

 

そして心臓破りの坂を越えて台中市内に入境、市内を環状する潭雅神綠園道という抜群に綺麗なサイクリングロードを抜けて17時台中駅前に到着。

それにしても台中はベトナム人、インドネシア人が多い。本当に多い!!

事実上移民解禁となった日本も5年後にはこうなるだろう。

さて台中と言えばお決まりの 巧合大飯店 に投宿。

本当にここは素晴らしい宿。 この設備で500元その上朝食まで付く。

 

この日の夜食はこんな感じ。

寝る前にホテルの裏路地を散策した。

昨年冬の縦断時、このホテルの裏路地一帯が女性屋でごったがえしているのを知った。

〇〇旅館なんて看板を出しているけど明らかに女性屋だ。

入口にはジュディオングの羽みたいな生地をまとった女性達が座っている。 

怪しげな上目遣いで一発でそれと分かる。

今回は30代~60代の女性職人がいたように見えた。

買う気も無いのにこんなところをウロつくのは粋ではないがこのホテルに泊まるたびにこの裏路地を探検するであろう。

 

人口200万都市の玄関口で人類最初の商売が営業している事実は都市計画の失敗などではなく、偶然の産物だろうか・・

難しい顔でそんな話をしている我々の前で鼻の下を長くした男達がうごめいた台中の脇道。

                                つづく